第10章 鬼と花
明日から長期任務で蜜璃さんも任務があるはずなのに
何故か一緒に泣いてくれていて
いつの間にか二人とも眠っていた
「じゃあ紫娜ちゃん、
もし生きていたら、またお話しましょう」
蜜璃さんはふわふわしている印象だったけど
責任感もあるし決して楽観的では無い
そんな蜜璃さんに本当に会えてよかった
「ご武運を祈っています」
小さくなっていく影が小さく濃くなってきた
今日は天気がいい
振り返らずに走っていく姿は
寂しい気がした
「ねぇ、椿も行っていい?」
「え? うーん...鬼狩りの任務じゃないみたいだから一緒に行こうか」
「うん!」
椿がかわいい...
少し体より大きい袴は裾を引きずりそうで、つまづきそうで
前にあげた狼の面を斜めにつけ
でへへと笑っている姿は本当に幼く見えた
私が七歳程の時も、一度父上と一緒に任務に行かせて貰ったことがある
父上の歩く速さに追いつけず
途中ではぐれたところ、
目の前に現れた鬼を一瞬で父上が片付けた
ずっと先に行っていたはずの父上が来てくれたことが嬉しくて、でも怖くて
そんな日だった気がする