第9章 自切
目の前に運ばれたカツ丼は吸い込まれるように甘露寺の口に入っていく
紫娜がまだ口にしていないうちに一杯を食べ終え、店主におかわりをしている
そんな甘露寺に慣れているのか、店主は予め数十人分のカツ丼を作っていたようで次々に運ばれる様子は慣れたものだった
「あら、紫娜ちゃん お腹減ってないの?」
「私は熱いもの苦手なので少し冷ましてます」
「紫娜は猫舌なのね...キュン」
目の前にもうお皿の山ができてる...
どこにこんな量が入るんだろ
沢山食べたら私も大きくなるかな...
いや 希望は見えない
多分このまま まな板な気がする
「食べづらくないか」
確かに丼をおさえることができない
まだ食べ始めたばかりだけど、最後は綺麗に食べれないかも
「今は大丈夫です」
伊黒様はなんにも気にしていないけど蜜璃さんが少しあたふたしている
なんでみんなこんな美人なんだろ
胡蝶様もそうだけど禰豆子ちゃんだってカナヲさんだって蜜璃さんだって
目が大きくて鼻がすらっとしていて
これを羨ましがらない人がどこにいるだろう
蜜璃さんは髪の毛の印象が強かったけど
優しく面倒みがよくて思いが熱くて
自分がなりたかった自分みたいだった
「ねえ紫娜ちゃん 今日このまま私の家に泊まりに来ないかしら?」
行けるもんなら行きたいけど
蜜璃さんの既にいらっしゃる番犬様と
笑顔で怒ってるお医者さんがこわいんだよなぁ