第9章 自切
「義勇 紫娜ご苦労だったね」
以前の柱合会議からしばらくもしていないうちにお館様のご様子は変わっていた
やつれたような気がする
「力不足により十二鬼月を倒すことが出来ませんでした」
安らぐようなお館様の声は残念ながら傷を癒してくれる訳ではない
お館様は私の腕を見るなりなんとも言えないような顔になる
お館様でも言葉を失うことがあるんだ
「二人ともよく頑張ったよ
鬼を倒せずとも無事に帰ってきてくれて何よりだ」
「義勇はもう下がってくれて構わない
わざわざ呼び出してすまなかったね」
私だけ残るの?
富岡さんも不思議そうにしてる
怖いものがひとつ増えた
一つ目はお館様とのお話
二つ目は胡蝶様からの熱い説教
「今日最初に会った時から私が不調なことに紫娜は気づいていたね 義勇は気づかなかったみたいだったけど」
確かにお館様の様子は大きく変わった訳では無い
言うならば雰囲気だろう
前よりも顔色が悪いし隣で支えてる女の子の顔からは不安そうな様子が伺える
「紫娜、今の柱達には頼めないことを頼んでもいいかい?」