第9章 自切
だんだん痛みが増してきた
富岡さんは少し足を引きずっているみたいだけど二人で肩を組みながら何とか歩けている
左腕がないから富岡さんが私の肩に手を回す形だけどほとんど体力がない今
正直お館様に呼ばれた焦りが痛みを後押ししてる
十二鬼月の強さを知ったけど
今回の戦いで本当に力不足だって思った
気づいてないだけですごい富岡さんに助けられた
最後なんて一人で突っ走っちゃったし
「なに百面相している 急ぐぞ」
見られてた...
上弦の弐...童磨だっけ
もう一人 狼の面をつけてた人を食べたって言ってた
鬼との戦いで何人も錦家はなくなっている
そのうちの一人をあの鬼に殺されてたんだ
父上がもしここにいたら怒鳴り散らされてたろうな
仇もとれないのかって
それと面が割れてしまったことも
一番煩く言われるのは
戦って死なないことなんだろうな
逃げるなって
錦家であるならば戦って死ねって
あんな父上だったのに今は会いたいなぁ
怒鳴る声が懐かしい
ゴクリと息を飲む
目の前の門を潜れば産屋敷だ