第9章 自切
富岡さんのおかげで間は取れたけど
もう随分体力を失った
富岡さんの髪先も少し白くなってる
"血鬼術 散り蓮華"
振るった扇子から砕けたような氷の花が出てくる
広範囲で回避ができない
「危ない!!」
「馬鹿者!」
足に攻撃を受けた富岡さんを紫娜が庇ったため紫娜の右側に大きな衝撃を受ける
「そういえば俺の名前は童磨ね
さぁまだまだ楽しませてくれよ」
右側には最早感覚などはなかった
それでも右手で刀を持つことができるのは
幼い頃からの刀への執着心と
右側の衝撃にも勝る左腕の痛みだった
「錦!起きろ!足を動かせ!」
二人にとって温度という敵に対して戦うほどの余裕しか無かった
「辛いよねぇ 感覚が無くなってきてるんだもんねぇ
可哀想に...家族もみんな弟に殺されて辛いね!大丈夫!俺が救済して導いてあげる!」
血鬼術を繰り出す童磨の技を避け続け持たれる足を動かす
まだ朝は来ない