第9章 自切
「(鬼の気配がしなくなったがまだそう遠くに行っていなはずだから)行くぞ」
...もうちょっと喋って欲しいなぁ
村の中を走っていると奇妙な空気に包まれた神社があった
他のどの家も静まり返っているのに対し、ここの静けさは冷汗がつたい気味が悪い印象を受ける
真ん中から左右に分かれる形の扉は古めかしいものだった
今まで経験から全神経が脳におくるのは警告信号であり、残念ながらここに鬼がいるという確証ができてしまった
なぜなら扉を開くと鬼が左足を食していたからだ
そしてその狂ったような鬼の目には上弦の弐と書かれている
「これはこれは珍しいなぁ」
目の前にずいっと迫った鬼に反射するのが遅れてしまい距離を思うように取れない
「俺と同じ髪色だね少し暗いけど
いやぁ面白いなぁ そうだよね!世の中面白いよね!」
距離を詰められたところを富岡さんの助け舟が入る
自分が思っていた以上に相手の動きについていけてない
「狼の面をつけた者は以前にもあったなぁ」
真正面から切りつけた刃で片手は切れたがすぐに再生してしまった
富岡さんの一撃を扇子でとめ、
背中から切りつけようとしてももう片方の手で動きを封じられてしまう
「近くで見るといい匂いがするねぇ
君、紫遊佐のお姉さんでしょ」