第9章 自切
ずっとさらし姿で練習していたから袴と着物が重く感じる
最近柱と行動することが増えたな
任務の前に胡蝶様に腕を見せたかったけどそうもいかない
あたりは日が沈み、夕闇の雲が広がっていた
音を響かさないように走っているせいか、草むらからは呑気な虫の音が聞こえてくる
一本道から少し開けたところで待ち合わせとなっている木陰の下の長椅子があった
腰をかけ柱を待つ
女の人がいいけど以前見た時は胡蝶様と恋柱様しかいなかったから希望は薄い
遅いなぁ...
しばらく待ってるんだけど来る気配すらない
人通りといえばさっきあの男の人が目の前を通ってずっとそこで誰かを待っているようだけど
待て待て
あの人じゃん!
「お尋ねしたいのですが...柱の方でしょうか?」
「そうだ」
そうだってずっと待たされてたんだけどな
ああでもこの人も待ってたんだよね
「錦 紫娜です 」
「知っている」
そっか、柱合会議であったもんね
でも名前ぐらい教えて欲しいんだけどなぁ
「行くぞ」
ここに来て珍しい人柄だな
ものすごく言葉足らず!