第8章 久しぶり
「元気でしたか?西の人達は」
変わらない長い髪
私よりも先端の青い部分が長い
瞳孔の細長さが鬼を物語る
いつも通りだから
紫遊佐の匂いも温もりも感じられないのかもしれない
鬼だからという理由にしたくない
でもその目はどこか悲しげで寂しげで
「元気でしたよ 叔父上も従兄弟達も」
紫遊佐が雑に巻いた手拭いを巻き直す
「....無事でよ」
最後の言葉もいい終わらないうちに消えてしまった
ふと目を覚ましたように
ぼーっとしていた意識を戻すと
やっぱり手拭いは雑なままで
日が昇り始めていた