第8章 久しぶり
「もう疲れたからさ...早く消えてよ
血鬼術 じゃのめ」
雨が激しくなるのと同時に雨粒に閉じ込められだんだん迫ってくる
さっき火傷した腕がヒリヒリする
目の前に迫ってくる雨を何とかするよりも遠くで笑っているあの鬼の頸を斬った方が効率がいい
「夜の呼吸 惨ノ型 子守唄」
威力が強すぎたせいか鬼の頸は切れたが洞窟が崩れかかっている
震えていた女の人を背負い、来た道を走った
一瞬よぎった考えが背筋をゾッとさせる
もし残っていた鬼が牢屋にいた人を食べていたら?
足を速める
牢屋には...誰もいない...?
「おーい!残っている人はいるかぁ!」
聞き覚えがある声
洞窟の出口で差し出された手を掴んだ
逆光で誰かは見えないけど
煉獄さんだったらいいのにと思う自分がいた
「久しぶりだな 紫娜!」
赤茶の髪に溌剌とした声
青と黒の市松模様の羽織
その目を見て安心した
フッと緊張が溶ける
「お久しぶりです 炭治郎さん」