第8章 久しぶり
「夜の呼吸 壱ノ型 満月」
うじゃうじゃいる雑魚はだいたい倒せた
ただ一体が真っ赤な目をして残っている
「お嬢さん 美味しそうだね」
虫唾が走るわ
目が合った瞬間から攻撃が繰り返される
今までの鬼とは各段に違う
動き方と話し方がなんかしつこい
男の姿をしているのに白い日傘は似合うとは思えない
しかしどの技も傘でかわされる
「血鬼術 乳母日傘」
なにこれ?雨?雨だけど...熱い
たまたま腕についたその雨で皮膚が焼かれじゅくじゅくと縮れていく
だったら雨を避けていけばいい
「今日は綺麗な三日月だからご馳走なんですよ
今日のために集めた食料はどれも美々たる味ですよ」
雨がうざい
相手の動きと夜の呼吸の相性が悪い
夜の静けさを雨が消していく
月や星の光を雨が消していく
ああ、手がかかる
トドメをさそうとした時に後ろからまた鬼がきた
その鬼は一人、女性を連れて来るとその場を動かなる
「空気が読めねえなぁ邪魔なんだよ」
その一撃は私に向けられたものではなかった
かろうじて引きずられてきた女性は盾となることができたけど動けなくなっていた鬼まで守れなかった
守れなかった?
守ろうともしなかったじゃん
その鬼は静かに塵の如く消えていった
やっとわかった
全ての鬼に力がなかった理由
食べれなかったんだ
こいつのせいで