第8章 久しぶり
さっきの街の賑やかさはまるでなかった
綺麗な三日月とは思ったけどいっそう気味悪く感じる
街中を歩いていると後ろに気配を感じた
でもここで距離を離すと鬼に勘づかれてしまう
下ろした髪を後ろから乱暴に掴まれた
ただあまり力を感じない
何人も誘拐しているはずなのにどうして力がないんだろう
その理由がまだ誘拐された人が食べられていないということに結びついたらいいんだけど
引きずられて引っ張られるのは嫌だから髪を弛ませるようについて行った
鬼は青白くなにかブツブツ言ってるけど聞き取れない
「....様...しなくては...」
ずっとこの調子である
昨日と違うことは一体ずつじゃなくて集団で誘拐していること
私の後ろにも前にも子供がいるようだ
ただ、私が髪を弛ませて歩いているのを見て自分たちもそうしているようだったから痛みはなさそう
恐怖でガタついている子らが可愛そうで仕方が無い
もう少し頑張って...
しばらく歩くと気づいたら森で洞窟の中に連れ込まれた
乱暴に牢屋へと押しやられる
周りの子供は椿ぐらいの歳の子もいれば幼子もいる
今頃街は騒ぎになっているだろう
牢屋はいくつもあって泣き疲れた子達の牢だったり
全てを諦め気力が見えない女性達の牢だったり、いずれにしても人数が多いことからこの街だけではないことがわかる