第8章 久しぶり
「お嬢さんもう大丈夫ですよ」
震える手はとても冷たかった
乱暴に掴まれていた髪はぐちゃぐちゃで、
恐怖で物が言えなくなっている
「鬼は...じゃない
化け物はもういなくなりました...
いや、その前に水です 飲んでください」
やっと水を飲み落ち着いた
それでも女性の目は恐怖の色をしている
「家に帰る前にちょっとよっていただきたいところがあるのでこのまま行きますね」
少し強引だが背中におぶらせる
日が昇ってもまだ街の人は起きていないようだ
女性は歩いている途中で寝てしまった
そうだよね、毎夜怖くて眠れなかったんだもんね
少し歩いたところに先程の夫婦の家がある
戸を開けると背中を鋭い槍で突っつかれているような気持ちになった
先程運んだ4人は身を寄せて震えていた
そして隣に寝ていたはずの夫婦が必至に慰めている
「あんた無事だったかい!?
それよりこの娘たちがなんでここにいんのかい!?」
朝起きたら知らない人が4人もいて、いくら面倒見がいいからって言ってもちょっと図々しすぎるよね
運んできた女性を合わせた5人は無事に家に送り返した
街の人達は異様な空気に包まれている
毎晩さらわれていた人が昨夜は拐われなかった
その理由が奇抜な銀の髪の少女のおかげ...
そりゃ視線も痛いわ