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【NARUTO】千手扉間

第15章 愛とは その二


酒を一口、口に含み視線だけをこちらに向けられた。
急に話が変わり、そう確信を持った様に言われ少しだけ焦る。

図星を突かれた。
まさにそれだった。

自分のそんな反応もマダラには全てお見通しだったのか、こちらを見る訳でもなく相変わらずお猪口に酒を注ぎ黙々と飲んでいた。
さすがと言うべきか、やはりマダラには隠し事は通用しないようだ。

戦争中に一度だけ名無しと二人で話す機会があった時にその覚悟を聞いた。
そして名無しは扉間に全てを忘れたまま生きて欲しいと願った。
例え己の命が尽きようともそう望んでいた。

その覚悟を穢す訳にはいかなかった。
だから、自分もその覚悟を受け入れ誰にも気付かれぬ様に務めた。
マダラに話してしまった時は名無しが死んでしまったものだとばかり思っていたから、そのやるせない思いを吐き出すかの様につい話してしまった。

「俺は扉間は好かん。…だが、名無しにそこまで想われておきながら、当の本人が忘れたままってのが気にくわねぇ。だから術を解いただけだ」

「ガハハハ!マダラよ、やはりお前は良い奴ぞ。オレはお前のそういうところが好きだ!」

「暑苦しい!酔っ払いがくっ付くんじゃねーよ!」

マダラと名無しは本当の兄妹ではないらしいが、それでもその絆は本物で、そうぶっきら棒に言うマダラの言葉一つでどれだけ名無しの事を大切に想っているのかがよく分かる。

マダラが術を解いた時の扉間の顔は今までに見た事が無い程、驚いた様な緊迫した様なそんな表情をしていた。
その後、すぐに立ち上がり外へと出て行く姿を見て少し心配になったが、こればかりは自分が何かを出来る訳でもなく、そのまま何も言わずに見守った。
今はまず気持ちの整理をしてから。
後はどう行動を起こすかは扉間自身が決める事。

自分達の手助けはここまで。
後はただ、この先の二人を見守るだけ。
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