第15章 愛とは その二
忍は感情的では生きて行けない。
感情を露にすればそこにあるのは死だけ。
それが憎しみ、悲しみ、愛情、どんな感情であろうともそう。
「感情」は人の心の隙になる。
名無しの言っている事は間違ってはいない。
それでも、どうしてもその言葉に納得がいかなかった。
「それより、どうして術が解けた?あの術は私以外には決して解けない筈なのに」
名無し自身は記憶を消した事よりも何故、記憶が戻ったのかという事の方が気になっているのか、ずっと真剣に何かを考える様な表情をしていた。
名無しがそう思うのも無理はない。
万華鏡写輪眼の瞳術を使い術を掛けたにも関わらず、それが解けたのだ。
そんな事本来であれば有り得ない。
しかし、いつまでもこのままでは一向に話が進まない。
言うか言わぬか迷ったが、仕方なくその「理由」を話した。
「…マダラがお前の術を解いた」
「な…っ、ど、どうしてマダラが…!?何で…」
その言葉に目を大きく開き、驚いている名無しの様子が理解出来ない訳ではない。
自分もまさかあのマダラがそんな事をするとは思わなかったから。
未だにどうしてそんな事をしたのかは分からない。
それでも、何かしらの理由があって術を解いたと言う事ぐらいは分かる。
マダラは頭の良い奴だ。
何をするにも無意味な事はしない。
そのマダラが解かなくてもいい筈の術をわざわざ解いたのだ。
少し考えた後、名無しの中で思い当たる節があったのか、薄っすらと眉間にしわが寄った。