第2章 交換条件【*】
そのまま顎を掴み、半ば無理矢理に上を向かせて唇を塞ぐ。
突然の出来事に大きく瞳を開けた女の動きが一瞬止まる。
その隙と言わんばかりに後頭部を押さえ、薄っすら開かれた唇から舌を捻じ込み絡ませる。
「っ…」
鋭い痛みを感じ、唇を離せば口内に血の味が広がった。
自分よりも背の低い女は腕の中に丁度納まるぐらいの大きさで抜け出そうと身体を捩っていたが、両腕を使えない様に抱えている為それは失敗に終わる。
血を吐き出し、再び女の顎を掴み下に向いていた顔を上げさせれば、羞恥心からなのか、それとも驚きからなのか瞳は薄っすらと滲んでおり、それが更に欲を掻き立てる。
そのまま後ろへと押し倒し肌蹴た首筋に口付けを落としながら指を這わせば拒絶の声が聞こえた。
先程の体勢とは違い自由に腕を動かせる様になったからか肩を押す手に力が入る。
「止めろ…っ。私に、触るなっ…!」
チャクラを練られない以上、力で男に叶う筈もない。
抵抗する両腕を捕まえそのまま抱き抱えて自室へと足を運ぶ。
流石にこの場所でこれ以上は出来ないし、する気もない。
その際、逃れ様と大声を出そうとする女の耳元で一言「こんな姿を誰かに見られてもいいのか?」と呟けば、鋭い瞳で睨まれる。
それから声での抵抗は無くなったものの、未だに腕の中で暴れ逃れ様とする女からはこれから自身の身に起こるであろう事に対する警戒心の強さを感じられた。
自分の部屋は裏庭を抜けた屋敷の中でも少し離れた場所にある。
部屋の隣には離れがあり、術の開発や実験が出来る様になっており、兄者以外は滅多に立ち寄る者はいない。
「わっ、ちょ…っ、いい加減にしろ!!ふざけるなっ!さっさと離せ!」
部屋に着くなりそう強い口調で叫ぶ女を布団へと下ろし、纏っていた鎧を片手で無造作に外して上から見下ろす様に組み敷く。
元々動き易い服装だったからか、抱えた際に衿の部分が少し肌蹴て白い肌が露出しており、その姿がやけに色っぽく感じた。
「ワシは別にふざけているつもりはない」
「冗談も大概にしろ…!今の自分の行動を考えてみろ。これのどこがふざけていないと言える!?」