第14章 愛とは
マダラと柱間はまだ二人で飲んでいる。
あれから食事をご馳走になり、結局このまま今日はここに泊る事になった。
本当は自分一人だけでも戻るつもりだったが、そんな事が言える様な雰囲気ではなく、心の中で小さく溜息を付いた。
自分も久しぶりに飲んだせいか、いつもより少しだけ頭がぼんやりするのを感じる。
火照った顔を醒まそうと外へと出れば、ひんやりと吹く風が心地良かった。
元々お酒は少しだけ嗜む程度にしか飲まないから強い訳ではない。
それでも酔う感覚は嫌いじゃない。
笑い合う二人の姿を見る事が出来るし、この時だけは深く物事を考える必要がないから。
そんな事を考えながら闇夜に浮かぶ月を見つめる。
それから少しして二人の居る部屋へと戻ろうと障子を開ければ見慣れた人物の姿があった。
まさかこの場に居るとは思っておらず一瞬動きが止まる。
「…誰だ?」
扉間のその言葉にすぐに我に返る。
まずい。
瞬時にそう思った。
冷静さを装いつつ手短に自己紹介し、すぐに視線を逸らす。
しかし、酒の席が幸いしてか特にマダラ達に何かを言われる訳でもなく、どうにかその場は問題なく過ぎた。
それでも今すぐにこの場を立ち去りたかった。