第14章 愛とは
「名無しっ!!」
「ちょ…、柱間…っ、離せ!暑苦しい近付くなっ!!」
会合も何事も無く終わり、他族の者が居なくなったと同時にこちらに走って来た柱間に力一杯抱き締められる。
今この場には自分達と柱間の三人しか居ない。
どうやら長の側近として出席したのはうちはとその他数名の者達だけだった。
女は自分一人だけだったからか最初は好奇な瞳で見られたが、そんな事いちいち気にしていては何も始まらない。
多少煩わしくは思ったがじきに慣れるだろう。
「その辛辣な物言い…。懐かしいぞ」
「気色悪い言い方すんじゃねーよ」
「ガハハハ!仕方あるまい!久方ぶりにこうやって会えたのだぞ。これぐらいは勘弁してくれ」
本当に嬉しそうに笑うものだから、いつしか抵抗する気力も消え失せ為されるがままだった。
時折小さく鼻を啜る音が聞こえその度に強く抱き締められる。
こんな風にマダラと柱間が共に同じ空間で笑い合える日が来るなんて本当に夢の様だった。
目に見える確かな「幸せ」がここにあり、それを肌で感じる事が出来る。
それがとても嬉しかった。
「今日はお前もマダラと一緒に来るだろう?ミトもお前に会いたがっていたぞ」
無邪気に笑いながらそう言う柱間の言葉に少しだけ現実に引き戻された気分になった。
今日はこれから何も用事が無い事はマダラも知っているし、下手に嘘を付いて誤魔化す事は出来ない。
しかも、そんな風に言われて理由も無く断る事なんか出来ない。
仕方なく小さく頷けば、その様子にまた満面の笑顔を向けられた。
その後、そのまま千手の屋敷へと向かい久しぶりにミトさんと会った。
自分の姿を見るなり、驚いた顔をした後すぐに泣きそうな顔で強く抱き締められる。
本来敵である筈の自分をこんなにも心配していてくれたのだと思うと涙腺が緩くなるのを感じた。