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【NARUTO】千手扉間

第13章 いつか見た夢


名無しは自分の妹の様な存在だ。
イズナと同じ。
自分にとって守るべき者の一人だった。

「覚えてるか…、ガキの頃にここで話した事」

「ああ…」

まだガキだった頃、柱間と二人でこの場所に「子供が殺し合わずにすむ集落を作ろう」と話した事を思い出す。
今思えば、何も知らないガキ同士の戯言の様な約束だったが、まさかそれが現実になるとは夢にも思っていなかった。

柱間に敗れた俺は、あの時半分冗談のつもりでああ言った。
「そんな馬鹿げた事をする筈が無い」そう思っていたから。
それでもこの男は自分の言葉に迷いなく感謝し、笑って自らの命を断とうとした。

その時にずっと忘れていた気持ちに気付いたのかもしれない。
その後は無意識に柱間の手を掴み止めていた。

「…なぁ、マダラ。一つ聞きたい事があるんだが」

「何だ?」

「名無しは今も生きているのか…?」

まるで言葉にする事を迷っている様なそんな口振りに無言で見つめ返せば、瞳は不安そうな色へと変わる。
この男のこんな瞳は久しぶりに見たなと、少しだけ懐かしさが込み上げてくる。

いつまで経っても何も答えない事を否定と取ったのか、肩を落とし酷く悲しそうに視線を里の方へと移す。
その瞳が名無しが斬られた時のものと重なり、その時にふと感じた違和感を思い出す。

「…名無しが斬られた時、お前達の会話に違和感を感じた。あの時はそんな事気にもしていなかったが…、思い返せばおかしな点がいくつかあった。俺が名無しを連れ戻した時、名無しと扉間は共に行動していた。それなのに扉間はまるであの時が初めて名無しを見た様な口振りだった」

「………」

「そしてお前が扉間に何かを言おうとした時、名無しはそれを遮ってまで止めた。声を出す事さえ辛かった筈なのにそれでも止めた。お前は名無しの何を知ってる?あの時、何を言おうとした?」

そう問うた言葉に相変わらずあの顔で見つめ返された後、ぽつりぽつりとまるであの頃を懐かしみ思い出すかの様に寂しげに話し始めた。

名無しが千手に捕らわれていた時の事。
そこで起こった色々な事を聞いた。

そして、名無しと扉間の事も。
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