第11章 対なる存在
「ワシの太刀を見切るとはな…。そうでなくては面白くない」
「………」
面の奥に見える血で染めた様な赤い瞳。
もう何度目か分からぬ程、この敵とは対峙している。
万華鏡写輪眼を持ち、うちはヒカク同様マダラの側近の様な存在だ。
身軽な身体を駆使しながら火遁・雷遁、万華鏡写輪眼を組み合わせて戦う戦法が主。
常に一定量の雷遁を身に纏わせつつ、小太刀に流し込みながら戦っている所を見る限りでもチャクラコントロールに関しては目を見張るものがある。
こちらの動きを先読みする眼と忍術。
どれを取っても自分の相手には申し分ない。
(雷遁の性質変化で筋肉、神経系を強化したか…。通りで一撃が重い筈だ)
自分よりも小柄な身体から受ける攻撃は鋭く重い。
頭上からの攻撃を弾き返せばすぐさま一定の距離を保ち中距離戦へと持ち込む流れを作る。
素早い動きとこちらの動きを先読みする眼をどうにかしない限りは、どうしてもこちらが不利だ。
普通の写輪眼相手ならば問題はない。
しかし、万華鏡写輪眼ともなると並大抵の術では効果はなく、下手をしたらチャクラを捨てる様なものだ。
こちらの出方を窺っているのか、それともチャクラを温存しているのか、攻撃をしてくる様子はなくただじっとこちらを見つめている。
この状況で万が一判断を見誤れば必ずその隙を突かれる。
(随分と舐められたものだな。ならば…)
素早く印を結びながら敵の方へと向かって走る。
それでも敵は動かずこちらの様子をただじっと見つめるだけ。
面で表情を隠している上に言葉を一切発しない。
ただそこに在るだけ。
確かにそこに存在しているのに何故か何も感じない。
それはまるで抜け殻の様にも感じた。