第9章 想いとの決別
そう言いながら膝を付く扉間の顔に手を添え、顔を上へと向かせる。
その言葉に鋭い視線で睨む扉間の瞳に魅入られる。
このまま自分を憎んでくれて構わない。
自分の中にあるこの感情をその思いが消してくれるのならば。
この気持ちがこれ以上大きくなる前に離れる事になって良かったのかもしれない。
「少し見ない内に随分と変わったな」
「あんな場所に拘束されていれば嫌でも変わる。本当はここで殺してやりたいけど…、然るべき時にこの力で殺してやる」
「万華鏡写輪眼か…」
これで最後。
そう思ったら少しだけ名残惜しさを感じた。
そのまま瞳を見つめながらその力を使う。
***
「…らまっ!扉間!大丈夫ですか!?」
「っ…、ここは…?」
遠くで自分を呼ぶ声が聞こえ瞳を開ければ真っ青な空と心配そうな顔をしているミトの姿があった。
まだ頭がぼんやりとしている。
特に痛い訳ではないが、まるで頭に霧がかかった様な感覚に襲われる。
それでも段々と頭がはっきりして来ると先程までの出来事を思い出し勢い良く起き上がり辺りを見渡す。
「マダラは!?」
「行ってしまいました…。それよりもこれを飲んで下さい。身体が少しは楽になる筈です」