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【NARUTO】千手扉間

第8章 見えない心【*】


自分の名前を呼ぶ事のない口から吐かれる声と息遣いがずっと頭に残る。
より一層深く奥へと押し込み激しく腰を動かせば、その動きに合わせて艶めかしい嬌声と肌をぶつける音が部屋に響く。

(…名無し)

声には出なかった。
出したとしても意味が無いから。

肘を曲げ、突っ伏した状態で声を上げるその姿は官能的で視覚からも刺激を受ける。
抱き締めながら覆い被さる様に名無しの首筋や肩に口付ければ、閉じていた瞳が薄っすらと開けられ、乱れた髪の隙間から視線が合う。

今、名無しの瞳に映っているのは自分だが、その瞳が本当に「何」を見ているのかは分からない。
目元は少しだけ赤くなっており、すぐに泣いていたのだと気付く。

だが、自分にはそれをどうする事も出来ない。
こんな風に抱かれて何を思っているのか、そんな事いくら考えても自分に分かる筈が無かった。

***

「んっ…!あ、はっ…っ」

「…イズナにもこんな風に抱かれたのか?」

どんな顔をしているのか見たかったから、今度は逆に押し倒す様な形で名無しを抱く。
そう問うた言葉に答える訳でもなく、ただ、こちらを見つめるだけで何も答えない。
どうして答えないかぐらい分かっているのに、それでもそれを言葉にする自分はどうしようもない程ただ名無しを傷付けたいだけなのかもしれない。

足を持ち上げ、身体をより一層密着させ揺さぶる。
腕を掴む手に力が入り、それが更に動きを早くさせる。

耳元で聞こえる声に意識が集中する。
首筋に埋めていた顔を上げれば、至近距離で視線が重なりそのまま口付けされる。

重なっては離れての繰り返し。
額に掛かる髪を撫でる様に除けられ、また艶っぽい瞳で口付けされた。
それが妙に心地良くて今までのものとは少し違う気がした。
今はもう、その瞳に何が映っていようともどうでも良い。
そんな気分だった。
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