第8章 見えない心【*】
【R18 ver】
「イズナを重ねて見ていればいい」
そう呟けば瞬時に変わる名無しの表情に少しだけ笑いが漏れる。
それでも心は相変わらずざわついたまま。
揺れる瞳を見て何を思う訳でもなく、ただ何に対してなのかは分からないが腹が立った。
そんな自分に何かを言おうとしたのか、名無しの唇が薄っすらと開く。
何も聞きたくなく無理矢理にその唇を塞げば、それと同時に揺らぐ瞳も強く閉じられた。
押し倒したまま寝巻きの帯を解き、さっきと同じ様に肌蹴た胸元に噛み付けばまた少しだけ名無しの顔が歪んだ。
それでも抵抗する気はないのか、瞳を閉じ顔を背けたままだった。
「んっ…、ふ…」
顔を掴みこちらに向かせ、再び唇を重ね逃げる舌に絡ませ口内を犯す。
嫌ならば噛むなり抵抗すればいいものの、それもせず、ただ黙って受け入れるだけ。
自分がイズナを重ねて見ていろと言ったくせに、名無しが自分にイズナを重ねているという現実を目の当たりにしたら、何故か良い気分はしなかった。
そんな気持ちを紛らわせようと好き勝手に身体を愛撫すれば、微かに熱の篭った息が漏れ始める。
それでも、相変わらず瞳は閉じられたまま。
「ちょ、待っ…!いっ…」
それから少しして、押し倒した状態から体勢を変えさせ、まだ十分に潤っていない秘部に背後から自身を宛がい奥へと押し込む。
制止の声を無視して無理矢理に挿れたせいか、珍しく名無しの口からは痛みを訴える声が聞こえた。
それでもその声に構わず奥へと進むが、入口は思いの他きつく、まるで自身を拒むかの様だった。
痛みを耐えるかの様にくぐもった声が聞こえるが、それでも名無しが抵抗する事はなかった。
何度か小刻みに律動させ奥へと進めば段々と滑りは良くなり、無意識に深く息を吐く。
腰を掴み一定の早さで揺さ振れば、痛みは治まったのか名無しの口からは少しずつ艶っぽい声が漏れ始めた。
上から見下ろす身体は細く同じ忍である自分のものとはまるで違う。
「んんっ…、はぁ、っ…」
この行為がただ自分の欲を満たす為のものなのか、それとも純粋に名無しを求めているものかは分からない。
それでも肌に感じる全てが自身を惹き付ける。
この声も身体も全部。
ただ、その全てを身体が求める。