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【NARUTO】千手扉間

第7章 隠れた思い


今晩の食事の事や寝具の用意の事などを簡単に説明している女は名無しの事が気になるのか、何度かそちらの方へと視線を向けていた。
名無しもその視線に気付いていたのか、そのまま何も言わず奥の部屋へと消えて行った。

「お綺麗な女性ですね。千手の方ですか?」

「いや、違う。姉上の客人だ。…見た目と性格は随分と違うがな」

自分のその言葉に疑問の顔を浮かべる女に何でもないと返せば、またいつもの顔に戻る。
名無しが別の部屋へと行ったからか、この部屋には女と自分との二人しかいない。

その機会を見逃すはずもなく、ゆっくりと近くに寄って来た女は相変わらずあの顔で「今晩お待ちしております」と恥ずかしげもなく言い放った。
それから、軽く会釈しそのまま部屋を後にする女の後姿を見つめる。

「随分と積極的な娘だな」

奥の部屋から戻るなり、第一声でそう話す名無しに訝しげな視線を向ければ、それに気付いたのか「私も忍だぞ。普通の人間の聴力と一緒にするな」と返された。
それ以上は特に聞いてくる様子もなく、また窓辺に座り外を眺め始めた。

その姿を見ていると同じ女でもこうも違うとはなと正直思った。

あの女の様に笑顔を振りまく訳でもなく、着飾る様な事もしない。
ただ、忍として在るだけ。
生きるか死ぬか、殺すか殺されるか。
その中でずっと生きて来たし、これからもそれは変わらないだろう。

「お前でもあんな風に笑うんだな。初めて見た」

ふと、放たれた言葉に再び名無しの方へと視線を向ければ、同じ様にこちらを見ている瞳と視線が重なる。
その姿を見ていると、さっき自分が言った「見た目と性格は随分と違うがな」という言葉に改めて納得する。
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