第7章 隠れた思い
ミトさんと別れ、今は客間に案内され一息付いている。
窓の外に映るいつもとは違う景色に少しだけ違和感を感じる。
そう感じる程あの屋敷で過ごした時間は長く、自分の日常になりつつあった。
窓の外をじっと見つめていると、ふと仲間の事を思い出す。
もし、うちはの屋敷に戻れるものなら戻りたい。
マダラの様子も気になるし仲間の事も気掛かりだ。
だが、本当はもう少しだけこのままでも良いと思う自分が居る。
千手で過ごし今まで決して見る事のなかった部分を見て少しずつ変わって行く自分の気持ちの変化には前々から気付いていた。
うちはも千手もお互い普通の人間。
話しも出来るしこうやって同じ空間に居る事だって出来る。
本当は戦いたくなんかない。
少しずつだが彼等を理解出来るようになり、この長く続く戦争の無意味さに気付いた。
だが、もし、またうちはに戻り戦いの中に身を投じてしまえばその想いが「無」に戻ってしまいそうで怖い。
せっかく自分の中に生まれたこの気持ちを消したくは無かった。
***
特に何かを話す訳でもなく、用意された部屋で時間を潰す。
ちらりと名無しの方へと視線を向ければ、窓際に座り何かを考える様に窓の外をじっと見つめていた。
その顔に表情はなくまるで人形の様にも感じた。
こうやって同じ空間に居るのは久しぶりだ。
別に避けていた訳ではないが、特に用事や話す事もなければ同じ空間に居る必要もない。
「失礼致します」
そんな事を考えていたら、襖がゆっくりと開き女中であろう頭を下げた女の姿が目に入る。
その後すぐに顔を上げた女の顔は見知ったもので、随分と嬉しそうな顔をしていた。
この女中とは以前兄者に付き添いうずまき一族との会合に出席した時に知り合った。
自分のどこに気に入る要素があったのか、滞在中は甲斐甲斐しく世話をしてくれた事を覚えている。
うずまき一族の女は随分と積極的で気の強い女ばかりだなと思ったのはこの時だったのかもしれない。
千手へと戻る前夜に女の方から自分の部屋に夜這に来たものだからあの時は驚いた。
それからというもの、千手を訪れた際は何度かこの女と身体を重ねた事があった。
「扉間様、お久しぶりで御座います。お元気そうで安心しました」
「あぁ、変わりない。お前も元気そうだな」
そう返事を返せばまた嬉しそうに笑うものだから、自分も少しだけ口元が緩んだ。
