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【NARUTO】千手扉間

第7章 隠れた思い


兄者程ではないが自分にも人並みに喜怒哀楽はあるし、他人に好意を持たれて悪い気はしない。
そう返せば思っていた以上に素っ気ない返事が返って来た。
そして、また視線は窓の外へと向けられる。

「…ワシはお前の笑った顔なんか見た事ないぞ」

「あるだろ」

何となく名無しのそんな態度が気に入らなくて、同じ様な言葉を返せばまた素っ気なくそう返事を返された。

名無しが言っている「ある」というのは、自分が言っている顔とは違う。
忍の顔で笑っているのは何度か見た事はある。
あると言っても、作り笑顔や鼻で笑ったり自嘲気味に笑ったりするものばかりだ。
自分が言っているのは、名無し自身の顔で笑った所を見た事が無いという意味だ。

そう自分の思った事をそのまま口に出せば、顔は相変わらず窓の外に向けられたままだったが、少しだけ機嫌が悪くなった事に気付く。
それから少しの沈黙が続き、先に口を開いたのは名無しの方だった。

「私のそんな顔を見たところで何の意味もないだろ。私はあの娘とは違うし、普通の女でもない。それにお前は何も変わらない」

そう呟く名無しのその言葉がやけに重く感じた。
まるで自分の心の内を見透かされている様な気分だった。
「何も変わらない」その意味が両一族の事を示唆している事ぐらいすぐに気付いた。

それはまるで、諦めの言葉の様にも聞こえ、つい眉間に皺が寄る。
そして、そう言い放った名無し時の顔は相変わらずの無表情で感情を読み取る事は難しく、その心の内で何を考えているのか分からなかった。

そこで、名無しとの会話は終わった。
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