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【NARUTO】千手扉間

第6章 それぞれの求めるもの


「…何故、名無しがあんなにも怒り泣いたか分かるか?」

言うか言わぬか迷ったが、このままでは扉間自身もわだかまりが残ってしまう。
人にとって知る事とは何よりも重要で不可欠なものだ。
知らぬよりは知っておいた方が良い事もあるし、その逆もまた然り。

「うちはイズナはかつて名無しと恋仲関係にあった男だ。そして、そのイズナの死が名無しに万華鏡写輪眼を開眼させた。名無し自身はイズナの死がきっかけで得たその力を使う事に対して拒絶している様だがな…」

「…何故、兄者がそんな事を知っている?」

「名無しはミトの前では素直になるからな。まだ陽が昇らぬうちに一人泣いていた所をミトが見つけた。その時に自分の事を色々と話してくれたそうだ。…俺がどうしてこんな事を話したか分かるか?名無しは愛した者を千手に殺されたにも関わらず、オレ達千手の事を少しずつ考え理解しようとしている」

その話を聞き、ようやく今まで疑問に思っていた部分が理解出来た。
何故、名無しがそんなにも己の死や身体に無頓着で、全てを客観的に考えたりしていたかと言う事を。

そして、兄者がどうして自分にそんな話をしたのかも分かっている。
自分がうちは一族に対して否定的な考えを持っている事を兄者はずっと昔から危惧していた。
どうして自分がそうなってしまったのかは分かっている。
二人の弟を殺され、自分達の目の前で多くの仲間を守る事も出来ずに失った。
自分の無力さを相手のせいしに、憎む事で自分を正当化していた。

名無しが出会った頃よりも少しずつ自分に心を開いてくれている事には気付いてた。
だが、心のどこかで「うちは」の名前が引っ掛かり自分からは本当に向き合う事をしなかった。

「あの時、あの場所に名無しは居なかった。そして、マダラはお前が仇である事を名無しには話していないのだろう。理由は分からんが、マダラが名無しに何も話さぬ以上、俺達が勝手に判断して言う事じゃない。今は考える時だ。お前がこれからどううちはと向き合うか…。俺が言える事はここまでぞ。あとは自分で考えろよ」

そう言いながらまるで子供をあやすかの様に頭を撫で、そのまま部屋から出て行った。
誰も居なくなった部屋は静まり返り、何かを考えるのには丁度良い静けさだった。
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