第6章 それぞれの求めるもの
そして、扉間の言う通り千手を恨む気持ちも大きくなった。
それでも自分にとってマダラは兄の様な存在であり仲間だ。
いつかこの戦いの終わりを信じて付いて来た。
拳を握る手に力が入る。
しかし、思いがどうあれマダラがその者達を殺した事実は消えない。
「マダラはイズナが死んでから変わってしまった。新しい万華鏡写輪眼を手に入れてからの須佐能乎のチャクラはとても冷たくて、ただ憎悪だけが感じられた…。それでもマダラは私達の長だ。仲間を信じないで何を信じる?…イズナがどれ程マダラにとって大切で掛け替えのない存在だったかお前になら分かるだろ?」
「…分るさ。マダラ程愛情の深い男は居ない。だからこそ俺は共に手を取り合い生きて行ける道をマダラと共に歩んで行きたいのだ…。弟はもうおらぬとも、仲間として友として支え合い幼い頃の二人の夢を叶えたいと今でもそう思ってる」
そう切なそうに言う柱間の瞳に嘘偽りはなく、その言葉が本心なのだと分かる。
自分は今まで「千手柱間」という男の上辺しか見ていなかったのだと気付いたのはいつだったか。
最初はただのうっとおしい考えの甘い男としてしか思っていなかった。
それでも、柱間の持つ「甘さ」に対しては少しずつ認識が変わって行った。
柱間は常に両一族が手を取り合い共存する事が最善の方法だと常々そう言って来た。
幼い子供達が戦場に出て命を落とす事のない世を作りたいと言っていた。
最初はそんな事が出来る筈が無いし、馬鹿げていると思っていたが、今ではそう願ってしまう自分が居る。
復讐は復讐を生み出す。
誰かがそれを踏み止まらない限り決して止まる事はない。
そうしなければ、イズナの望んだ平和は決して訪れる事はない。