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【NARUTO】千手扉間

第3章 足下から鳥が立つ


「おい!柱間をどうにか…っ、…寝てる…、のか?」

「…お前の声で起きたがな」

勢い良く無遠慮に襖を開ければその言葉通り今まで寝ていたのだろう。
仰向けの体勢で眉間にしわを寄せながら顔だけをこちらに向けている扉間の姿があった。

まだ陽が出ているこんな時間に寝るなんてとは思ったが、よくよく考えれば任務から戻ったばかりなのだと気付く。
しかもその姿をよく見てみれば、服の袖から見える誰が巻いたのか下手くそな包帯が何重にも無造作に巻かれていた。
ちゃんと手当てをしていないのか、包帯には薄っすらと血が滲んでいた。

「…それ、もしかして自分でやったのか?」

「それ」という言葉が何を意味しているのかがすぐに分かったのか、短く肯定の返事が返って来た。
まさかとは思ったがそう本人が言うのだからそうなのだろう。

更に近くで見てみると下手くそを通り越してむしろただ適当に巻いているだけの様にも感じた。
呆れてものが言えないと言う言葉はこういう時に使うという事が良く分かった。

「よく、そのままの状態で寝ていられるな…。そんな手当の仕方初めて見たぞ」

「黙れ…。傷が治れば問題なかろう」

「傷の治り具合には差が出るがな」

こういう時、自分の性格が少し嫌になる時がある。
自分は忍でありながら傷を癒す事の出来る忍術を使えた為、戦に出る事はなかったが、うちはの人手不足が懸念され戦に駆り出される事になった。
勿論、戦に出る事になった理由はそれだけではないが、それも一つの大きな理由だった。

しかし、傷を癒せると言っても限度がある。
生命に関わる様な大きな傷を治す事は出来ないし、失った臓器なども治す事は出来ない。

それでも自分の出来る限り傷を治して来た。
だから、こうやって目の前に怪我人が居ると落ち着かない。
例え目の前に居る人物が「千手」であろうとも、今はその千手で世話になっている身。

何より「怪我をしている」という事が嫌なのだ。
心の中で小さく溜息をつき、その場に腰を下ろす。
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