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【NARUTO】千手扉間

第3章 足下から鳥が立つ


『おぉ、戻ったか!今回は随分と遅かったな。何か問題でもあったか?』

『いや…、問題はない。それよりも兄者、ミトが客間で待っている様だが…。こんな所で油を売っていてもいいのか?ワシは知らんぞ』

許嫁であるミトの名前を出せば流石の兄者も少し気が緩んだのか、その隙に脱兎のごとく部屋から逃げ出し外へと走って行く女の姿が見える。

その姿に大げさ過ぎる程に残念そうな態度を取る兄者に何度目か分らぬ溜息が漏れる。
何かとぶつぶつと文句を言っているが、急かす様に客人が待っていると言えば持って来た茶請けの皿と湯呑を持ち、ようやく戻る準備を始めた。

部屋を出ようとした際に引き止められ、無粋な事を言うものだから、いつもとは違う態度が出てしまいつい余計な事まで喋ってしまった。
言い終わった後には兄者に話した事を心底後悔したが、今更もう遅い。

そのまま振り向かず足早に自室へと戻り、疲れ切った身体を休ませるように横になる。

***

ようやく柱間から解放されたはいいが、このまま部屋に戻る事も出来ず今はいつもの裏庭に居る。
先程の出来事を思い返すだけで苛々が募る。
柱間にもそうだが、あの男、扉間にも腹が立って仕方がない。

自分が柱間を嫌っている事を知っている筈なのに助け様としなかった事やまるで自分が居ないかの様に会話を進めていた態度にも腹が立つ。
あの兄弟は人の事を何だと思っているのだろうか。
そもそも、何故柱間があの日の事を知っているのだろうかと疑問に思う。

扉間もそういった事を他人に話す様な性格ではないだろうし、ましてやあの兄にそんな事を言う筈もない。
という事は、考えられる事はただ一つ。
あの時、あの場所に自分達以外にも柱間が居たのだという事。

『あいつもこうやってお前を腕に抱いたのだろう?』

さっきまでの柱間との会話を思い出せば、全部ではないにしろ、会話を途中まで聞かれていた事に気付き頭が痛くなる。

あの時の自分はどうかしていた。
どうしてあんな話を扉間なんかにしたのか。
修業の疲れでおかしくなっていたのかもしれない。

柱間に文句を言いに行きたいが、今はミトさんが来ている為、我慢しなければいけない。
ならば、と立ち上がりチャクラを練り目的の人物の居場所を探す。
場所を探知し、そのまま足早にその人物が居るであろう部屋へと向かう。
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