第2章 春の波
落ち込み、とぼとぼ歩を進め教室に近づくと
ふと頭上から、またあの声が降り注ぐ
『おはよ、研磨』
視線を持ち上げ前を向くと
少し照れ臭そうにするが笑って手を振ってくれている
「あ、おはよ…」
落ち込んでいたことも、からかわれたことも
気づけば全部吹っ飛んで、自然と口角が上がっていた
『下ばっか向いてたら柱にぶつかっちゃうよ!』
「…いや、それはないと思う…」
『うそっ!!』
まるで自分は経験があるような反応で
また少し口角が上がる
二人で一緒に教室に入ると
また昨日みたく、周囲は一瞬シンとする
『やば、結構ギリギリだったね…!』
は気付いてないらしく、教室の時計を見てせっせと机に向かう
『おはよー!』と彼女がクラスメイトにも挨拶すると、さっきまでの冷たい空気が瞬く間に融和され
また彼女の周りに人が寄り付く
「……」
ついさっきまであったおれの場所は、すぐ定員オーバーとなり
思わず一歩下がってしまう