第2章 春の波
「けーんまクーン?なあんですかあ?そのだらしない顔はなーんでーすかァー???」
「…クロ、うるさい」
朝練終わり、部室で制服に着替えていた所
クロにうざ絡みされている
「練習に身が入ってねえの丸わかりなんですけどォー??」
「いつもじゃないっスか」
「うるせえリエーフ、いつものと種類が違うんですぅー!お子様には感知出来ないかも知れませんがね!」
「確かに今日は浮かれてたな研磨」
夜久さんも交じり、部室に居たみんながクロの話題に注目する
「…別に」
「ちゃん」
「………」
背後でニヤつくクロをじとりと睨む
「昨日来てた子、彼女?いつから付き合ってんの?」
「そんなんじゃないって、昨日も言った」
「いつの間に落としたんだよ。マジで驚いたぞ。文化祭の有名人だろあの子。三年にもちゃんのファン居るぞ?」
「ああ、いるなあ。天使だなんだってよく騒いでる奴」
「だから違うって」
「イイよなちゃん。可愛いよなァ」
「天使って呼ばれるのもちょっと分かる」
「そういえば同じクラスだっけ?じゃあ結構前からーー…」
「違うって、言ってるよね…?」
めんどくさくなって、声に苛立ちを孕む
珍しく怒る研磨に、二人はからかうのを辞める
「……ごめん」
感情的になる場面でもないのに、そうなってしまった自分が恥ずかしくて
小さい声でそう零し、背を向け部室を去る
バタン、と扉を閉め
「はああああ…」と大きくため息を吐く
(なにやってんのおれ…空気悪くしただけじゃんバカ)