第2章 ローズ・マダー
「うっ…ぐっ…」
勝手に出てしまう呻き声を堪えるため、服の袖を噛んだ。
目をギュッと閉じて、何も見ない。
その間も、翔の足は俺を蹴り続けて。
玄関に響く打撃音と俺の呻き声。
腿から背中まで何度も何度も蹴って。
翔の動きが止まった。
荒い、息遣いが聞こえる。
「…智…」
翔のしゃがむ気配がして。
優しく俺の頭を撫でた。
目を開けると、微笑んだ翔が俺のこと覗き込んでた。
「服を脱げ」
「…え…?」
「そこで、脱いで」
目が笑ってない微笑みのまま、優しく声を出す。
これは、命令
逆らってはいけない
震えるのを止められないまま、半身を起こす。
ネルシャツのボタンに指を掛けるけど、震えててうまく外せない。
それを見て、翔がシャツのボタンを外す。
外し終わったら、手は離れていった。
「…翔…」
微笑んだまま見てるだけで、何もしない。
しょうがないから、ネルシャツを脱ぎ捨て、下に着てるTシャツも脱いだ。
「下も」
そう言われて、のろのろと身体を起こしてジーパンとサンダルを脱ぎ捨てた。
ボクサーパンツ一枚の姿になると、やっと満足そうに笑って。
そのまま乱暴に俺のこと、犯した。