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カラフルCU【気象系BL小説】

第2章 ローズ・マダー


タクシーを降りると、強引に腕を引かれて歩かされた。
沼地を歩いてるようで、足が前に進まない。
そんな俺に苛立ちながらも、翔の足は止まることはない。

翔のマンションに着いて、部屋のドアを閉めた瞬間…

「何考えてる」

冷たい声がしたかと思ったら、三和土に突き飛ばされた。
広い三和土の上で、ただ呆然と翔を見上げた。

「なんで…俺の邪魔するの?」
「邪魔…?」
「そうだろ。今ここで、智が芸能界引退するって…どういうことだか、わかってないだろ?」
「わか…ってる、つもり…」
「わかってないだろ。なんも考えてないんだろ?」
「か、考えたっ…この3年、ちゃんとっ…」
「…嘘なんだろ?一般人に戻りたいなんて」
「…え…?」

冷たい…
汚いものを見るような、翔の目。

「…俺から、逃げようと思ってるんだろ?」

ゾワリ、顔の皮膚から血が引いた。

また、震えが大きくなって。
歯の根が合わない。
答えられない。

「どうして…?智…」

表情のない、翔の口の端が上がる。
笑ってる。

「愛してるのに」

笑ってるのに、目の奥底は変化がない。

「なんでわかってくれないの…?」

優しい声とは裏腹に、翔の足は大きく後ろに引かれて。
俺の腿を蹴り上げた。

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