第3章 アガット
「ごめんね?今度から忘れないようにここに置いておくから」
そう言って、ビニールを取った箱をポンと枕元に投げた。
「あっ…当たり前だろっ…」
そう言って、不貞腐れちゃったけど…
実はまんざらでもないよね?
唇の端が、ちょっと上がってる。
「あ~…実はちょっと嬉しいんでしょ?」
「ばっ…ばかじゃねえの!?」
「だって今日だって、準備万端だったじゃん?」
「それはっ…おまえがっ…二度と離さないとか言うからっ…」
「へ…?」
翔くんはふきふきしてたティッシュを俺に放り投げると、枕を取って、照れた顔を隠してしまった。
「翔くん…?」
俺、昨日そんなこと言ったの!?
ふと翔くんが取った枕の下を見たら…
ゴムのパッケージが一個、置いてあった。
「翔くんこれ…用意してたんじゃん…」
「あっ…」
慌てて枕を放り出すと、翔くんは枕元に手を伸ばした。
「こっ…これはっ…」
「用意しててくれたんなら、言ってくれればよかったのに…」
「ばっ…そっ、そんなっ言えるかよっ…」
「なんで?」
「だって、生のほうが…ってオイ!」
翔くんが自爆した。
「ほお…生のほうが気持ちいいんだ…」
「ばっ…ばっ…馬鹿じゃねえの!?」