第3章 アガット
「な、なんでもない…それより、何?」
「ああ…今日、どうする?」
「きょ、今日?」
「ああ。この後…」
…なにを…言ってるんだろうか…
「この…後は、家に…」
「ああ。おまえん家な。わかった」
…なにが…わかったんだろうか…
ふと、足元に転がってる翔くんのかばんが目に入った。
なんか…いつも以上に荷物が多い。
まるで、お泊りセットでも入ってるみたいな大きさで…
え?お泊りセット…?
「ほぐあっ…」
また勝手に身体がびくうっとして、膝をテーブルにぶつけた。
でかい音を立てて、テーブルがずれた。
「…だから、なにやってんのおまえ…」
「い、いや…さーせん…」
この後も、やっぱりあんまり記憶になくて。
23時にはバラけさせてもらったけど、散々だった。
明日土曜日でオフだから、もっと遅くまでやる予定だったのに…
「あーっ…ちくしょう…」
送迎車の中、またマネがビクビクと俺を振り返った。
「松本さあん…明日と明後日はゆっくり休んでくださいね?」
「…ったりめーだろ!」
「ひいっ…すすすすみませんっ差し出がましいこと言って!」
あー、もうこれ、完全に八つ当たりだ。
「ごめん」
「ひいっ…明日、槍が降る!」