第3章 アガット
家に帰ると、玄関で立ち竦んだ。
広い三和土に立ち竦んで、ひたすらスマホを眺めた。
「き…来た!」
翔くんから、個別のラインが来た。
『下についた。オートロック開けてくれ』
あっ…あああ!そうだった!
リビングまで慌てて走っていって、一階のオートロックの解除ボタンを押した。
少し遅れて写ったモニターには、すでに翔くんの姿はなく。
暫く待つと、玄関のインターホンが鳴った。
「はっ…はいいい!」
慌てて玄関まで走って、ドアを解錠した。
ノブを押して開けると、翔くんがさっきの姿のまま立ってた。
「よ。待った?」
「う、ううん…?」
「そか」
そう言いながら、玄関に入ってきて靴を脱いだ。
「…潤?」
「えっ?」
あまりにもその姿が自然で…
ここは翔くんの家なのかと錯覚するほどだった。
「入らねえの?」
「あっ…ああ、行く…」
なぜだか、翔くんの後ろについていく格好になった。
リビングに入ると、翔くんはコの字型に配置してあるソファに、どっかりと座った。
「潤、酒」
「あ、う、うん…」
冷蔵庫から、適当に酒の缶を持ってリビングまで戻った。
「こんなんしかないけど…」
「十分じゃん。さんきゅー」