第3章 アガット
もやもやしながらも、なんとか二件仕事をこなして…
国立のための、リハーサルやらなにやらで抑えてるビルに向かった。
打ち合わせの部屋に入ると、翔くんがいた。
「んがっ…」
びっくりして、のけぞったら後ろのドアに頭をゴチンとぶつけた。
目から火花が出るかと思った。
「痛ったー…」
翔くんは、俺を見て笑っていた。
「松本さん、大丈夫ですか…?」
マネが心配そうに周りをウロチョロするのが、うっとおしかった。
「いーから…マック買ってきて」
「はい?」
「マック!てりやき!チキンナゲットもな!」
「はっ…はいいい…!」
マネが出ていったら、打ち合わせ室はシーンとなって。
と、いうのも。
他のスタッフさんは居なくて、俺と翔くんのふたりきりで…
ど…どうしよう…
翔くんのマネ、どこ行ったんだろ…
「きょ、今日…どうしたの?」
「あ?打ち合わせしにきたに決まってんだろ」
そ、そうだよね~…
なんか話しかけないと間が保たないと思って、頭を擦りながら話しかけてみた。
「ま、マネは…どっか行っちゃったの?」
「あー…飯買いに行ってもらった」
「あ、ああ…そう、だよね…」
ザ・気まずい。