第3章 アガット
びくっとして、マネが俺の方に向いた。
「松本さん…風邪でも引きました?」
「は…?」
「そんなすぐ謝るなんて…熱でもあります?」
「おまえ、極限まで失礼だな…」
ソースとハンバーグソースの違いもわからないくせに…
「ひいっ…す、すいませんっ…」
「俺だって、謝るときは…って、謝ってねえ!」
「ええっ!?誰にですか!?僕ですか!?」
「おめえじゃねえよ!ちょっとだーってろ!」
「はっ…はいいいっ…」
マネは小さくなって前を向いた。
「あちゃ~…」
セックスって単語でびっくりしてたけど…
俺、もしかして無理やり…
いや、そうだよな
絶対そうだ
翔くんを押し倒して、事に及んでしまったに違いない。
ちゃんと謝らなきゃ…
「あ~…う~…」
その日は、一日中集中できなくて…
謝らなきゃとは思うものの…
だって俺、覚えてないし…
バーで飲んでて、翔くんから連絡があったのまでは覚えてる。
その後が、どう考えても思い出せない。
ただ…ここんとこ。
ちょっとご無沙汰だったから、今日は下半身がスッキリとしている。
それだけはよくわかった。
だから、昨日せっ…
…なにかあったというのは…
本当なんだろうなあ…