第3章 アガット
「あ…あの~…」
出る間際。
寝室を覗いてみたら、翔くんはまだベッドに寝転がっていた。
「あ?」
オウ…まだ不機嫌ですね…
「俺、行くから…その…鍵は…」
「オートロックだから問題ないだろ?行けよ」
「う、うん…」
マネから、鬼のように着信してて、またスマホがケタタマシイ。
だけど俺は、確認したくて…
「あの、さ…翔くん…」
「あ?」
翔くんはNakedのまま、半身を起こしてこちらを向いた。
腰から下には、布団が掛かってて…
肝心なとこは、見えない仕様。
そしてベッドの背後には、レースカーテンだけ閉まってる窓があって。
朝の光が、翔くんの白い肌を照らして眩しかった。
「ホモ雑誌のグラビア…」
「あ?」
「さ、さーせん!あの、翔くん俺とやることやったって…」
「あ!?」
「ごっ…ごめん!いくら考えても思い出せない!」
「セックスやったに決まってんだろ!はよ行け!」
せっ…
「せっくすううううう!?」
その後はどうやって家を出てきたのか覚えてない。
気がついたら、俺は送迎車に乗ってて。
助手席に座る、マネがなにやら焦ってる姿が見えた。
「松本さん、お願いですから…電話掛けたら起きてください!」
「あ…ああ…すまない…」