第3章 アガット
確か昨日は…行きつけのバーに行って…
いろいろ、コロナのせいでごちゃっとしてしまった仕事のこと、考えてたんだよな…
そこに、確か…翔くんから連絡が入って…
その後、どうしたんだっけ?
「マジで覚えてないわけ?」
「え?ああ…うん…」
ふーっと、翔くんが長いため息を付いた。
その時、鼻の奥が急激にむず痒くなって、くしゃみが出てしまった。
「エックチッ…」
「ああ…もう、風邪引いた…?」
そう言って、翔くんは俺に近づくと、コツっと額をくっつけた。
「ち…近いんですけど…」
「あ?今更だろ?やることやったんだし」
やることやったんだし
やることやったんだし
「…は?」
「ん。熱はないみたいだな…つか、もう仕事の時間じゃねえの?」
「んああ!」
慌てて時計をみたら、もう準備できてなきゃいけない時間で。
「やっ…ヤベ!シャワー…」
「俺、今日は午後からだから、もうちょいゆっくりさせてもらうわ」
そう言って、Nakedな翔くんは、ゴロンと横になった。
「は?え?」
「早く行けよ」
げしっとベッドから蹴り出されて、慌てて俺は浴室に向かった。
シャワーを浴びながら、昨夜のことを考えたけど…
いくら考えても、何も思い出せなかった。