第2章 ローズ・マダー
血が、頭の天辺から引いていくのがわかった。
「なん…のこと…?」
「ふふ…相変わらず、正直だね。あなたの顔…」
カンバスを直した指で、そのまま俺の顎に触れた。
クイと上を向かされる。
翔の…冷たい目が…俺を射すくめてる。
「…楽しかった…?潤を利用して」
「利用なんかしてない…」
「じゃあ、弄んで?」
一言も僕が聞き逃さないように、ゆっくりと一語一語区切りながら翔は喋り続ける。
「話し合いも、自分で喋らなくていいから…悪者にならなくていいから、楽だったでしょ?」
何も…言えなかった
潤が僕の気持ちを代弁してくれるから、楽になっていたのは確かだった
それに…ニノや相葉ちゃんの感情も…
受け止めていたのは、潤だったから
「…さっきの電話、潤だったんでしょ?」
「え…?」
「あったよ。俺にも連絡…あなたより、先にね。サイレントにしてたから、わかんなかったでしょ?」
ニタリと笑うと、翔の顔が近づいてきた。
「…勝った、と思った?」
「やめて…」
「潤が自分を選んだと思った…?」
「…帰って…」
「智」
翔の手が、ゆっくりと僕の首を掴んだ。
「俺の手のひらで踊ってて、楽しかった?」