第2章 ローズ・マダー
もう憎いという感情すら持てないんだよ
どうでもいいから、家にも呼んだんだよ
いらないんだよ、翔
僕の恋人だった翔は…もう、いらない
「智……」
絶望で…真っ暗になった目…
自分を理解してくれる人を失って
絶望してる目
ありのままの自分を出せる人を失って
絶望してる目
「さあ…もう、いいでしょ…?」
そのまま生きていけばいい
傲慢なあなたなんか、死ねばいい
心臓から血を流しながら
もがいて…死ねばいい
「僕の答えは、活動休止…それでいい」
涙を流すことも忘れて、真っ暗な目で僕を見てる。
そんな翔の肩を、押した。
ちょっとの力だったのに、翔は崩れ落ちて。
僕を見上げたまま、床に不格好に尻をついた。
「…なんで僕の邪魔するの…?」
「え…?」
「自分のことしか…考えてないんでしょ」
「な…に…?」
「今まで…生きてて楽しかったでしょ…?」
「智……」
だんだん怯えが混じる表情の変化を見ているのが楽しかった。
「好き勝手に、嬲って…僕のこと、見下して…」
「そんな…そんなこと…」
「じゃあなぜ殴ったの?なんで僕を束縛したの?」
「それは…それは…」
「僕ならなにしても、離れていかないって思ってたらでしょ?」
ほら…死ねよ
死んで…あのときの僕に謝れよ
みっともなく泣きわめいて
許しを請えよ