第2章 ローズ・マダー
「…そっか…可哀想じゃないんだ…」
笑いながら…泣いてる翔を、見上げる。
「他に、たくさん女いるもんね…翔」
精一杯、優しい笑顔を浮かべて、見てやる。
そして突き放してあげる
たった一人で
泣けばいい
「僕が居なくても…潤が居なくても、平気だね?」
不完全な自分を抱えて、一人で立ってればいい。
「強いんだね…翔…」
完璧じゃない自分を見つめて、泣けばいい。
「どうして…?智…」
「…なにが…?」
「そんなに…憎い…?」
「憎い…?」
そうだね…
翔が、潤に手を出した時、憎かったよ
どうして僕だけの翔でいてくれないの?って…
とても憎くて
本当は
僕は死んでしまったんだよ
もう、飛び立てる羽も…ないんだよ
「わからない…?」
「……わかんねーよ…俺のこと、憎いからこんなことするんだろ…?」
「ふふ…ねえ、僕言ったよね…?」
パレットと絵筆を置いて、立ち上がった。
翔の前に立つと、また笑ってやった。
「活動休止でいいって、言ったよね?」
「え…?」
「僕は、なんとも思ってない」
翔の目が見開かれた。
「なんとも思ってないから、活動休止でいいって言ったんだ」