• テキストサイズ

カラフルCU【気象系BL小説】

第2章 ローズ・マダー


随分長い間、翔は黙っていた。

ザラザラと音がする以外、なんの音もしない室内は…
油絵の具と、翔の香水の匂いが混じって。

懐かしい匂い

「潤が、翔に言われて僕と付き合ってること、知ってるよ」

翔が言わないから、僕のほうから言ってあげた。

「なに…言ってる…」
「とぼけても無駄だよ。潤は言わなかった?」
「…なに、を…?」
「僕は、潤を抱いたんだよ?」
「え…?」

やっぱり…知らなかったんだ。

「言わなかったんだ…潤ったら…」

昔から…変わらないな…
潤のそういうとこ…素直で可愛いとさえ思う。

心を許してしまったら、裏切れないんだ

「僕が潤に抱かれてると思ってた?」

もう、翔からなんの答えも返ってこなかった。

「残念だったね…翔…」

もう、あなたは一人

「潤は、僕のほうがいいって」
「…嘘だ…いつ…?なんで…?」

やっと絞り出された言葉は、翔らしくもなく…
ひどく動揺して、細切れでしか喋ることができない。

「初めて潤を抱いた時…もう、わかってた」
「え…?」
「潤は初めてじゃなかった。ちゃんと、感じてた…」

顔を上げて、後ろを見上げた。
真っ青な顔をしてる翔を、微笑んで見てあげた。

「翔が、ああしたんでしょ?」

/ 327ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp