第2章 ローズ・マダー
初めて寝るのに…好きでもない相手なのに…
潤は最初から、敏感に反応した。
「とっても…慣れた身体だったよ…?」
あそこまでなるのには、相当時間が掛かったはずだ。
「僕が…抱かれると思ったの…?潤に」
真っ直ぐに目を見て聞いてるのに、空洞みたいな目をした翔は何も答えてくれない。
震える唇が、少し開いた。
「…知ってたの…か…」
「そうだね…僕が別れるって言う前から、わかってたよ?」
随分、翔は僕のこと侮っていたみたいだけど…
メンバーのことだよ?
わからないはず、ないだろ…
翔が誰を抱いてるか
翔が誰に想われてるか
わからないはずはない
「でもね…翔。潤はもう、僕がいいんだって」
「え…?なん…で…?」
「潤はもう、僕のものだよ」
その証拠に…今夜、連絡をしてきたのは僕だ。
僕が、翔に抱かれていないか…
居てもたってもいられないほどの焦燥に駆られて…
連絡してきたのは、僕のほうだった。
翔じゃなく、僕を選んだんだ。
潤は…
「潤は…僕を選んだんだよ…?翔…」
だから…
あなたは、一人なんだ
潤は翔を…捨てたんだ
「可哀想に…翔…」
「嘘だ…そんな…」
「潤を使って、僕を引き留めようとしたのに…」