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カラフルCU【気象系BL小説】

第2章 ローズ・マダー


「…いいよ…活動休止で」

やっと…微笑んで翔の顔を見ることができた。

「え…?」
「ニノがなんていうか…わかんないけど…僕はそれでいいよ」
「本当に…?」
「うん…それで、いい」

しっかりと翔の目を見下ろして、そして極上の笑みを作ってやった。

「ありがとう…僕のために…」
「…智…」

少し緩んだ緊張。
翔の手が僕に向かって伸びてきた。

その手を躱して、僕は翔から遠ざかった。
そして、カンバスの前に立つと、絵筆を握った。

「…絵を、描くの…?今から…」

パレットに、黒い油絵の具を思い切り出して。
べっとりと筆に取ると、背景の黒に塗り込んだ。

夢中になって、その黒を塗り込んだ。
漆黒の背景は、油絵の具で盛り上がって…

だんだんと影を作る

「智…?」

夢中になってて、翔が背後に立ったのも気づかなかった。

「潤から…連絡あった?」
「え?いつ?」
「今」
「今…?多分、ないと思うけど…」
「そう…」

ザリザリと音を立てながら、筆をカンバスに滑らせていく。

「僕、全部知ってるよ」

一瞬、背後の空気が固まったのを感じた。
そんなことにも構わず僕は、背景に黒を塗り込める作業に没頭した。






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