第2章 ローズ・マダー
確信を持った言い方…
僕の気持ちを…メンバーの気持ちを推し量ることを…自分が間違うはずはないと。
「…そんなこと、できるわけ…」
「景子さんはそれでいいと、言った」
「嘘だ」
そんなわけない。
僕がどれだけ休ませてくれと訴えても、絶対に彼女が譲ることはなかったんだから。
「できるんだ。嘘じゃない」
しばらく、何も言えなかった。
何を言ったらいいのか、わからない。
休んで…また戻ってくるなんて…
できないと思ってたから、考えたこともなかった。
ただひたすらに…この場所から飛び立つことしか考えてなかった。
「智くん…俺が…」
翔が何かを言いかけた時、スマホの着信音が聞こえた。
「…俺じゃないな…出て?」
そう言うと、翔は窓の方に顔を向けた。
帰ってきたままで、翔の座るソファの横に放り出してたバッグにスマホを入れたままなのを思い出して、立ち上がった。
画面を見ると、潤だった。
「ふ…ふふ…」
思わず笑いが込み上げた。
今、この瞬間…
僕のガベルは振り下ろされた
「…智くん…?でなくていいの…?」
「うん…大丈夫…」
着信音が途切れると、部屋の中はまたシンとした。
僕は、勝ったんだ