第2章 ローズ・マダー
あの時…潤に、同じことを聞かれた時…
即答できなかった。
それを、翔は知ってる
「景子さんと損得勘定抜きでね…話したよ」
「…へえ…」
あの人が、そんな話に乗るとは思えなかったけど。
翔が持ってる後ろ盾には、逆らえないってことか。
身内を使ったのか…それとも翔自身の交換条件か…
よっぽど強いカードを、見せたに違いない。
「…活動休止で、話した」
「……え?」
「智くんが、癒やされるまで…それまで、嵐を休む」
「休む……?」
「そうだよ…活動休止…嵐を休んで、あなたが帰ってくるのを、待つんだ」
持っていた缶のプルタブを引き上げて、また一気に煽る。
呆然と白い喉が動くのを見つめていたら…
また強い目に囚われた。
「その間、事件さえ起こさなきゃ好きに過ごしてもいい…事務所も全力でサポートする。どうせ、海外なんて智くん一人じゃ住めないでしょ?」
あまりのことに、何も言えない。
「国内にいるのなら、この話は悪くないはずだ。静かに過ごせるようサポートする」
僕が何も答えないのに、翔はどんどん話を進めていく。
「…ニノの結婚も、その間にすればいい。それで…話がまとまった」
「は…?」
まとまった…って…
「…僕やニノの意思は…?」
「そこは、理解してるつもりだ」