第7章 Coke+ポンパドール -Fseries-
ぐるぐると頭をいろんな記憶が通り過ぎていった。
ものすごい笑顔の雅紀…
衣装がぱっくり割れてパンツをみんなに見られた雅紀…
ペットボトルに書かれた数字をひとりだけなんのことだかわかってなかった雅紀(智くんもだけど)…
水とお茶しかないのにコーラをくれと言った雅紀…
孤軍奮闘をきつねぐんふんとうと読んだ雅紀…
ご飯読みながら新聞を食べられる雅紀…
って、これ走馬灯!違うから!
死なないから俺!雅紀も死なないから!
「ま、雅紀!雅紀ぃ!」
ベチベチと頬を張ってみたけど、一向に雅紀は目を覚まさない。
「血…血は出てないよな…?」
雅紀の頭を探ってみたけど、血は出ていなさそうだった。
「びょ…病院に…」
頭を打ってるかもしれないから、CT撮ってもらないといけないかもしれない。
そうなると、いつもの小さい病院じゃ…ああ…そうか、事務所に連絡して…
そう思って雅紀を床に寝かせて、スマホを手に取った。
その瞬間、呼び出し音が鳴り響いた。
「うわっ…びっくりしたあ…」
まさか掛かってくるとは思わず、心臓がひっくり返るかと思った。
慌ててカバーを開いて見ると、電話だった。
「も、もしもし!?」
『あ、翔くん?やっと繋がった…何回か電話したんだけどさぁ…』
「じゅじゅじゅじゅ…」
『はい?なに?どうしたの?』
「潤~~~~た、たぁすけてくれぇ~~~~~~」
そう叫んだ瞬間、ピンポーンとインターホンが鳴った。
『今…家の前に着いたんだけど…?とりあえず、門あけてくれる?』
「お、おうっ…」
通話を切ると、リビングに飛び込んだ。
インターホンのリモコンで門を解錠して、すぐ玄関に向かう。
ドアの鍵を開けると、すぐにドアが外から開いた。
「翔くんっ…どうした…どあっ…」
潤が玄関から入ってきて、そしてすぐにコケた。