第7章 Coke+ポンパドール -Fseries-
遠くで潤の声がしてる。
戻ってきたんだ。
でも、眠くて目が開かない。
目、開けたいのに…
さっきまで熱のせいか、ちょっと体が痛かった。
でもそれも今はなくなって、体がふわふわしてる。
薬のおかげでちょっと楽になったみたい。
「…ゅん…」
呼んでみたけど、声小さくしか出ない。
「…大野さん…?」
潤の声がした。
「あれ…?呼ばれたと思ったのにな…」
「あの、松本さん今日は…」
「ああ、もういいよ。後は俺がやっておくから」
「すいません。これから事務所で会議あって…」
「いいよいいよ。ごめんね。俺たちオフなのに呼び出して…」
そう言いながら、声は遠くなっていった。
なんか…ご機嫌な声だったなあ。
翔くんちでなんか美味しいものでも食べてきたのかな。
あ…てりーぬのぱてぃ…
ちょっと俺のぶんも取っておいて貰えばよかった。
あれ、美味しいんだよなあ…
「くふ…」
もぐもぐ…おいちー…
「ちょっと…智…?」
ぷにっとほっぺたを摘まれて、目が覚めた。
「なに美味しいもの食べてたの?」
「へ…?」
「口もぐもぐさせながらニヤニヤ笑ってるから…夢でどんな美味いもの食ってたの?」
「あれ…?」
いつの間にか潤がベッドの横においてあるパイプ椅子に座ってた。
「点滴、終わったから帰ろ?」
にっこり笑って、手を差し出してくれた。